沖縄県立芸術大学
音楽部&大学院(修士課程)音楽芸術科 シラバス

科目名:  西洋音楽史特講

科目区分: 選択科目/専門基礎科目 

科目コード 授業科目名 単位数 学期 授業区分
51008 西洋音楽史特講 2 集中講義
(9月)
講義
受講年次 担当教員名
全専攻2〜4次 西原稔、(c)倉橋玲子
■授業概要
19世紀はドイツ周辺の諸国は民族意識に目覚め、独自の音楽文化を開花させた時代です。自国の言語、自国の民謡や音階を用いて個性豊かな音楽を生み出しました。その音楽は、模範としたドイツ音楽とは明らかに異なる魅力に満ちています。
19世紀は、それぞれの国が近代化を推進した時代です。そのためには模範となる西洋音楽の受容が不可欠でした。それは日本も同様です。西洋音楽を受け入れつつ、それぞれの国の作曲家は自国独特の要素をそこに融合させて行きました。ヨーロッパでは、国家の独立という問題がきわめて大きな課題でした。ポーランドは列強によって国土が失われ、チェコはオーストリアの属国となり、北欧のノルウェーやフィンランドも列強の支配下にありました。こうしたことが国民意識を高揚させていきました。
この講義では、ポーランド(ショパン)、チェコ(スメタナ、ドヴォルザーク、ヤナーチェク)、ロシア(チャイコフスキー、ムソルグスキー、ボロディン、バラキレフ、アレンスキー等)、北欧(グリーク、シベリウス)、南欧(グラナドス、アルベニス、ファリャ)、アメリカ(ゴッチョーク、マクダウェル等)を取り上げて、ナショナル・ミュージックへの作曲家の取り組みと作品を考えていきたいと思います。名曲を軸に、その作品においてどのように民族性が表現されているのかを取り上げていきたいと思います。
■学習目標
・ヨーロッパにはさまざまな言語があり、さまざまな文化があります。18世紀古典派以来、音楽ではドイツ音楽が主流でした。しかし、19世紀後半になると周辺各国は自国の音楽に目覚めていきます。それぞれの国の音楽の独自性についての理解が深まることを目標にしたいと思います。
■授業計画・方法
講義形式で授業を行い、随時、ゼミ的にディスカッションを取り入れていきたいと考えています。講義は以下の項目で進めたいと考えています。
1. 国民楽派とは?19世紀ヨーロッパと音楽
2. ポーランドの歴史と音楽 ショパンに託した国家独立の理想
3. チェコの歴史と音楽1 スメタナの「わが祖国」の歴史的な意味
4. チェコの歴史と音楽2 ドヴォルザークとボヘミアの調べ
5. チェコの歴史と音楽3 ヤナーチェクとモラヴィアの風土
6. ロシアの歴史と音楽1 チャイコフスキー 西洋とロシアの狭間で
7. ロシアの歴史と音楽2 ムソルグスキー 生のロシアの表現
8. ロシアの歴史と音楽3 ボロディンの音楽再考
9. ノルウェーの歴史と音楽 グリークの「抒情小曲集」「ピアノ協奏曲」
10. フィンランドの歴史と音楽 シベリウスの「フィンランディア」
11. デンマークの歴史と音楽 クーラウからニールセンまで
12. スペインの歴史と音楽1  グラナドスと「ゴイェスカス」
13. スペインの歴史と音楽2 アルベニスと「スペイン組曲」 
14. スペインの歴史と音楽3 ファリャとモダニズム
15. アメリカの民族音楽 ゴッチョークとクレオールの音楽
■履修上の留意点(授業以外の学習方法を含む)
・積極的に授業に参加し、作品についてともに考える場としたい。
・隔年(偶数年)開講。
・平成29年度は開講しない。
■成績評価の方法・基準
・レポートによる。
■教科書・参考文献(作品)等
教科書
特に用いない。資料を配布する。
参考文献(作品)
講義において適宜指示する
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