沖縄県立芸術大学
音楽部&大学院(修士課程)音楽芸術研究科 シラバス

科目コード 授業科目名 単位数 学期 授業区分
80154 琉球舞踊論研究 4 通年 講義
受講年次 担当教員名
舞台芸術専攻・音楽学専修
1〜2年次
○呉屋淳子・大城學
■テーマ
前期:琉球舞踊の研究における理論や方法について、楽劇研究の視点から学ぶ。
後期:琉球舞踊の研究における基本的な「伝統」や「創造」の概念について文化人類学的視点から学ぶ。
■授業の概要
前期:冠船舞踊や雑踊、創作舞踊、村踊りで踊られる民俗舞踊等を取りあげる。具体的には芸能史を押さえた上で、歌詞(詞章)、所作、装束、小道具等について民俗学的視点から琉球舞踊と組踊について学び、その特徴は何かを理解する。なお、理解を深めるために可能な限り映像資料(DVD)を活用する。

後期:民族舞踊の研究において基本的な「伝統」や「創造」の概念について文化人類学的視点から学ぶ。具体的には、@文化的多様性、A文化相対主義、B人間集団のカテゴリーの3つのキーワードを通して、様々な民族集団で受け継がれてきた伝統の蓄積である文化について学ぶ。それらを踏まえて、奄美・八重山等を含む琉球弧における琉球舞踊がどのような特色を持っているのか、人々の生活とどのように関わってきたのかを概説する。これらを踏まえて、現代沖縄における芸能文化の展開とその特徴について理解する。
■到達目標
前期:楽劇研究の視点から、琉球舞踊および組踊について理論的に理解し、それをレポートにまとめることができる。
後期:文化人類学的な視点から現代沖縄における芸能文化の展開とその特徴について理解し、自分の言葉を用いて議論し、それをレポートにまとめることができる。
■授業計画・方法
前期  
1.琉球舞踊概要/@古謡にみる祭祀舞踊、A冠船舞踊と民俗舞踊
2.老人踊/「かぎやで風」と「長者の大主」
3.若衆踊/「若衆こてい節」「入子踊」
4.二歳踊@/「上り口説」「下り口説」「前の浜」
5.二歳踊A/「高平良万歳」と組踊「万歳敵討」
6.女踊@/冠船舞踊「かせかけ」と民俗舞踊「かせかけ」
7.女踊A/「柳」と組踊「辺戸の大主」、「伊野波節」「諸屯」
8.女踊B/民俗舞踊の女踊
9.雑踊@/「花風」「浜千鳥」「むんじゅる」
10.雑踊A/「取納奉行」「加那よー」「加那よー天川」
11.雑踊B/「秋の踊り」「鳩間節(鳩間節物語)」
12.琉球舞踊と八重山舞踊/@所作の比較、A「作田(稲穂)」「仲良田」他
13.多良間島の民俗舞踊/二歳踊、女踊
14.伊江島の民俗舞踊/二歳踊、大和芸能の影響
15.戦後の創作舞踊/@前半は舞踊鑑賞、A後半は授業の総まとめ
定期試験は実施しない。

後期
1.イントロダクション:文化とは
2.イントロダクション:伝統文化と身体
3.文化の伝統と創造@:ユネスコと芸能
4.文化の伝統と創造A:重要無形文化財としての琉球芸能@
5. 文化の伝統と創造A:重要無形文化財としての琉球芸能A
5.フィルム・セッション
6.表現者の歴史性@:明治、大正期
7.表現者の歴史性A:戦後期
8.フィルム・セッション
9.「創作する」とは@:ヨーロッパの舞台
10.「創作する」とはA:アジアの舞台
11.「創作する」とはB:社会的メッセージと舞台
12.フィルム・セッション
13.伝統芸能の保存と継承@
14.伝統芸能の保存と継承A
15.まとめ
定期試験は実施しない。
■履修上の留意点(授業以外の学習方法を含む)
@琉球・沖縄舞踊関係の文献や資料を積極的に読んでください。
A可能な限り、劇場や村まつりに通って舞台を鑑賞してください。
B上記の授業計画に記載した通り、授業時に演習や発表を多く実施します。自身の研究テーマの独自性を、先行研究の動向を踏まえて報告できるよう、充分な準備をしてのぞんでください。
■成績評価の方法・基準
【方法】
レポート50%、平常点(発表、出席)50%
【基準】 到達目標を観点として、履修規程に定める「授業科目の成績評価基準」に則り評価する。
■教科書・参考文献(資料)等
教科書
エリック ホブズボウム、テレンス レンジャー編、前川啓治(訳) 1992『創られた伝統』、紀伊國屋書店
三隅治雄『原日本・沖縄の民俗と芸能史』
矢野輝雄『沖縄舞踊の歴史』
大城學『沖縄芸能史概論』
テキスト
適宜、レジュメおよび資料を配布する。
参考文献
適宜、教員の指示による。
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