沖縄県立芸術大学
音楽部&大学院(修士課程)音楽芸術研究科 シラバス

科目コード 授業科目名 単位数 学期 授業区分
80257 音楽様式論 4 通年 講義
受講年次 担当教員名
演奏芸術専攻・音楽学専攻 1〜2年次 向井 大策
■テーマ
作曲家の個人様式と時代様式の関係について考察する。
■授業の概要
クロード・ドビュッシー(1862〜1918)とモーリス・ラヴェル(1875〜1937)のピアノ音楽や管弦楽曲、歌曲、室内楽曲などをとりあげ、この両作曲家の個人様式の共通性と違いを、楽曲分析と美学的な背景に関する考察を通して明らかにする。とりわけ、このふたりの作曲家が、文学・絵画などの音楽以外の分野との「照応(コレスポンダンス)」を通じ、どのようにして独自の音楽様式を確立していったかを、「ベル・エポック」と呼ばれた、この時代特有の文化的背景を通して考察したい。
■到達目標
・和声やテクスチュアの面において複雑な面をもつドビュッシーとラヴェルの音楽を分析的な観点から理解する。
・ドビュッシーとラヴェルが独自の音楽様式を確立するに至った、文化的・美学的な背景について理解する。
・ドビュッシーとラヴェルの個人様式を把握することで、作品研究や演奏解釈の手がかりをつかむ。
■授業計画・方法
講義形式の解説と分析を中心にしつつ、参加者の構成を見ながら、参加者による研究発表・演奏等の機会も交え、両作曲家の音楽への理解を実践的に深めていきたい(したがって、以下の授業計画は、参加者の構成によって変更される可能性もある)。

前期
1.導入
2.ドビュッシー、ラヴェルとその時代 概説(1)
3.ドビュッシー、ラヴェルとその時代 概説(2)
4.ドビュッシーのピアノ音楽の分析(1)
5.ドビュッシーのピアノ音楽の分析(2)
6.参加者の研究発表(1)
7.参加者の研究発表(2)
8.ドビュッシーの管弦楽曲の分析(1)
9.ドビュッシーの管弦楽曲の分析(2)
10.参加者の研究発表(3)
11.参加者の研究発表(4)
12.ラヴェルのピアノ音楽の分析(1)
13.ラヴェルのピアノ音楽の分析(2)
14.参加者の研究発表(5)
15.参加者の研究発表(6)/前期のまとめ

後期
16.後期の導入
17.ドビュッシーとラヴェルの歌曲の分析(1)
18.ドビュッシーとラヴェルの歌曲の分析(2)
19.参加者の研究発表(6)
20.参加者の研究発表(7)
21.ドビュッシーとラヴェルの室内楽曲の分析(1)
22.ドビュッシーとラヴェルの室内楽曲の分析(2)
23.参加者の研究発表(8)
24.参加者の研究発表(9)
25.ラヴェルの管弦楽曲の分析(1)
26.ラヴェルの管弦楽曲の分析(2)
27.参加者の研究発表(10)
28.参加者の研究発表(11)
29.ドビュッシーとラヴェルの音楽様式――差異と共通性
30.まとめ。定期試験は実施しない。
■履修上の留意点(授業以外の学習方法を含む)
・講義や研究発表でとりあげられる作品については、可能な限り、楽譜を準備すること。
・それぞれの回でとりあげられる作品については、事前に観賞し、概要を把握しておくこと。
・講義でとりあげる内容をより深く理解するために、以下に紹介する参考文献を、授業と平行して読み込んでいくことが望ましい。
■成績評価の方法・基準
【方法】
・平常点 50%
・研究発表 30%
・期末レポート(前期・後期各1回ずつ) 20%
【基準】 到達目標を観点として、履修規程に定める「授業科目の成績評価基準」に則り評価する。
■教科書・参考文献(資料)等
教科書
教員が配布。
テキスト
教員が配布。
参考文献
松橋麻利『ドビュッシー』(音楽之友社 作曲家・人と作品シリーズ)
ヴラディミール・ジャンケレヴィッチ『ドビュッシー――生と死の音楽』船山隆、松橋麻利訳(青土社)
アービー・オレンシュタイン『ラヴェル――生涯と作品』井上さつき訳(音楽之友社)
オリヴィエ・メシアン『メシアンによるラヴェル楽曲分析』野平一郎訳(全音楽譜出版社)
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