沖縄県立芸術大学
音楽部&大学院(修士課程)音楽芸術科 シラバス

科目名:  フィールドワーク演習

科目区分: 必修科目/主要科目 音楽学専攻/音楽学コース

科目コード 授業科目名 単位数 学期 授業区分
47282 フィールドワーク演習 2 通年 演習
受講年次 担当教員名
音楽学コース3年次
(大学院の「琉球音楽論研究a」のクラスと合同授業で行う)
金城 厚
■授業概要
 この科目は、民族音楽学のフィールドワークを実習する。録音取材のイロハを学び、体験することによって身につけるための授業である。
 フィールドワークとは、文献から知識や情報を得るのではなく、音楽が営まれる現場に立ち会って知識や情報を得ることである。フィールドワークでは、とりわけ、生きて生活している人々の日常に踏み込んでいくことが多いので、取材技術と同時に、伝承している人々とどのように向き合うかについての考え方を確立することが必要である。この授業では、とくに短期間で行うフィールドワークについて、「調査」の対象となる人々に対するモラル、録音・録画の技術、インタビューの要領、さらには録音・録画資料の整理やデジタル化による保存の方法、アーカイブの考え方と具体的な構築方法、研究への応用事例、そして、地元の人々への還元について学ぶ。
 この授業では、直接に取材する対象は、便宜上、近在の芸能を扱うが、広く日本やアジア各地の音楽・芸能のフィールドワークに応用できる、一般的に必要となる技術や考え方を学ぶ。
■学習目標
 @授業で習得した知識や技術を使って、実施にフィールドワークを実施し、取材について地元の伝承者と交渉し、適切な情報を得て、良質な録音/録画を作成できること。
 A得られた情報、録音・録画を整理して、適切な調査報告書が作成できること。
 Bフィールドワークおよびデスクワークを通じて、共同作業において仲間たちと適切に連携し、協力しあい、貢献できること。
■授業計画・方法
 前期は、フィールドワークの心得や技術を学んだうえで、8〜9月に沖縄本島内の民俗芸能を1カ所選んで現地録音・録画、聞き取り調査を行う。後期は、資料のデジタル化や採譜、補充インタビュー、報告書の作成までを実習する。調査対象には、ウシデーク、または他の踊り歌を取り上げる。

4月 フィールドワークの目的、モラルについて。過去の受講生の作成資料について。
   フィールドワークによる民謡研究の研究史。
5月 録音・録画器材の特性、使用方法。現場での録音・録画の手法。対象とする芸能についての知識。
   ドキュメンタリーとしての録音・録画制作の方法論。
6月 質問項目の構成方法、インタビュー技術について。調査地の選定について。
7月 対象地域の人々との接触、予備調査。
8・9月 【本調査、フィールドワークの実施】

10月 録音のデジタル化、整理・台帳作成、諸情報の整理
11月 採譜、校閲討議、歌詞対訳の作成方法、採譜資料の作成法
12月 アーカイブの現状と構築の理論、音楽構造分析の試行、補充調査の準備
1月 【補充調査】、報告書の作成方法
2月 報告書提出
■履修上の留意点(授業以外の学習方法を含む)
授業の一環として、夏期のフィールドワーク、および冬期の補充調査(フィールドワーク)に参加すること。年間30回の授業回数の一部をこれに充てる。調査は芸能・行事の日程によっては深夜に及んだり、宿泊を要する場合もある。訪問地の選定については、受講生諸君と相談して決める。やむを得ず参加できない事情がある者については配慮する。
授業においては、適宜、対象地の情報調査や採譜などの準備課題を課する。受講生どうしで協力して遂行すること。
■成績評価の方法・基準
目標のAに挙げた最終的な報告書の提出(各自が分担した部分)を必須とし、これを評価の基本(80%)とする。これに、目標の@とBに挙げた現地での行動の適切さ、および年間を通じての課題遂行や共同作業への貢献を評価に加え(20%)、総合して最終評価とする。
■教科書・参考文献(作品)等
教科書
使用しない
参考文献(作品)
東京芸術大学民族音楽ゼミナール編「沖縄音楽採集手帳」(配布する)
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