沖縄県立芸術大学
音楽部&大学院(修士課程)音楽芸術研究科 シラバス

科目コード 授業科目名 単位数 学期 授業区分
48233 音声学 4 通年 講義
受講年次 担当教員名
琉球古典音楽コース・琉球舞踊組踊コース3〜4年次 仲原 穣
■テーマ
■授業の概要
この講義は、前期に「音声学」、後期に「琉球語」を学ぶ講義である。音声学の基礎を身につけた後で「琉球語」を学ぶことにより、特殊な音声もスムーズに発音することができる。
前期の「音声学」では、話し手がどのように「声」を生み出し、「調音器官」でどのような加工を行ってさまざまな「音色」に変えているのかについて解説する。つぎに現代日本語の母音や子音の特徴について講じる。その際、世界中のことばを記録できる国際音声記号(IPA)というアルファベットも習得する。
後期の「琉球語」では、まず、前期で身につけたIPAで琉球語を書き取る実践を行う。また、琉球語の範囲と区分、系統、首里方言の位置づけについて学ぶ。その後で首里方言の発音や会話のしくみを講じ、教科書の各課のスキットやプリントの用例等の発音も訓練する。
■到達目標
1.音声学の基本的な知識を身につけ、音声器官のしくみを理解する。
2.日本語の母音や子音がどのように発音されているのかを分析できる。
3.国際音声記号で琉球語などの音声を記述できるようになる。
4.琉球語概説を理解し、首里方言の基礎を習得する。
5.老年層の話す首里方言を理解し、コミュニケーションする力を身につける。
■授業計画・方法
1.言語音とは、音声がつくられるまで、音声器官とは
2.音声器官とその役割([準備]1回目に配付されたプリントを読み込み、言語音について理解を
 深める)
3.子音の特徴(調音点・調音法・声帯振動)
([準備]2回目に配付されたプリントを読み込み、音声器官の名称と役割について理解を深める)
4.母音の特徴(舌の位置と唇の状態。ア行)
([準備] 3回目に配付されたプリントを読み込み、子音の特徴と音声器官との関わりについて理解を
 深める)
5.日本語の五十音と音声記号五十音と音声記号(1)(カ行、サ行、タ行)
([準備]4回目に配付されたプリントを読み込み、母音の特徴と分類、IPA【国際音声記号】について
 理解を深める)
6.日本語の五十音と音声記号五十音と音声記号(2)(ハ行、ナ行、マ行)
([準備]5回目に配付されたプリントを読み込み、日本語のカ・サ・タ行の特徴を理解し、IPAを覚える)
7.日本語の五十音と音声記号五十音と音声記号(3)(ヤ行、ラ行、ワ行)
([準備]6回目に配付されたプリントを読み込み、日本語のハ・ナ・マ行の特徴を理解し、IPAを覚える)
8.撥音(ン)・促音(ッ)・長音(ー)
([準備]7回目に配付されたプリントを読み込み、日本語のヤ・ラ・ワ行の特徴を理解し、IPAを覚える)
9.拍と音節(日本語のリズム)
([準備]8回目に配付されたプリントを読み込み、日本語の特殊音の特徴を理解し、IPAを覚える)
10.音韻の認定の方法と音声学との違い
([準備]9回目に配付されたプリントを読み込み、日本語の拍と音節の違いを理解する)
11.日本語のアクセント(1)(アクセントの種類と日本語)
([準備]10回目に配付されたプリントを読み込み、音韻の認定の方法を理解する)
12.日本語のアクセント(2)(名詞・動詞・形容詞の型)
([準備]11回目に配付されたプリントを読み込み、アクセントとは何かを理解する)
13.イントネーションとは
([準備]12回目に配付されたプリントを読み込み、日本語のアクセントの特徴を理解する)
14.プロミネンスとは
([準備]13回目に配付されたプリントを読み込み、イントネーションを理解する)
15.音声学の基礎(復習と補足)、夏期休暇の言語調査(調査方法と手順)
([準備]14回目に配付されたプリントを読み込み、プロミネンスを理解する)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
16.中間試験(音声学の知識の確認)
([準備]1〜14回目に配付されたプリントを読み返し、調音音声学の知識を振り返る)
17.首里方言の書き起こし(ことばを記録する:実践)(1)―身体語彙―
([準備]3〜8回目に配付されたプリントを振り返り、音声表記で記録できるように準備する)
18.首里方言の書き起こし(ことばを記録する:実践)(2)―衣類語彙(前半)―
([準備]3〜8回目に配付されたプリントを振り返り、音声表記で記録できるように準備する)
19.首里方言の書き起こし(ことばを記録する:実践)(3)―衣類語彙(後半)―
([準備]3〜8回目に配付されたプリントを振り返り、音声表記で記録できるように準備する)
20.首里方言の書き起こし(ことばを記録する:実践)(4)―動物語彙―
([準備]3〜8回目に配付されたプリントを振り返り、音声表記で記録できるように準備する)
21.琉球語の名称と範囲、琉球語の系統と日本語との関係
([準備]17〜20回目に配付されたプリントを振り返り、首里方言の語彙を覚える)
22.琉球語の下位区分と首里方言の位置、自己紹介の仕方
([準備]21回目に配付されたプリントを振り返り、琉球語の名称と範囲、系統や日本語との関係を
 理解する)
23.首里方言の母音の特徴(基礎の確認)
([準備]22回目に配付されたプリントを振り返り、琉球語の下位区分を理解し、自己紹介を覚える)
24.首里方言の子音の特徴(基礎の確認)
([準備]23回目に配付されたプリントを振り返り、首里方言の母音の特徴を理解し、単語を覚える)
25.首里方言の助詞(1)(「〜が」の区別)/代名詞
([準備]24回目に配付されたプリントを振り返り、首里方言の子音の特徴を理解し、単語を覚える)
26.首里方言の形容詞(1)(形容詞【終止形、連体形、理由形】とサ語幹)
([準備]25回目に配付されたプリントを振り返り、助詞の役割を理解し、例文の発音練習を行う)
27.首里方言の動詞(1)(動詞【否定形、命令形、禁止形】と基本語幹)
([準備]26回目に配付されたプリントを振り返り、形容詞の語尾変化(1)を覚え、例文の発音練習を行う)
28.首里方言の動詞(2)(動詞【終止形、連体形、尾略形】と基本語幹―疑問文、「ドゥ」の強調文―)
([準備]27回目に配付されたプリントを振り返り、動詞の語尾変化(1)を理解し、例文の発音練習を行う)
29.首里方言の助詞(2)(「〜を」、「〜で」、「〜は」)/動詞(3)(動詞【テ形、過去形、継続形】と音便語幹)
([準備]28回目に配付されたプリントを振り返り、動詞の語尾変化(2)を理解し、例文の発音練習を行う)
30.首里方言の丁寧語の作り方(1)(名詞文の丁寧形)/形容詞(2)(形容詞の【丁寧形】【過去形】)
([準備]29回目に配付されたプリントを振り返り、名詞・形容詞の丁寧形を理解し、例文の発音練習を行う)
31.首里方言の丁寧語の作り方(2)(動詞の【丁寧形】)/動詞(4)(動詞の継続形の過去)/まとめ(補足)
([準備]30回目に配付されたプリントを振り返り、動詞の丁寧形を理解し、例文の発音練習を行う)
■履修上の留意点(授業以外の学習方法を含む)
講義を聞いただけで講義内容を理解することは難しい。よって,講義前にはシラバスを参照し,配布されたプリントや購入したテキストに目を通し,大まかな内容を把握しておくとよい。また,講義後には読み返すなどの事後学習を行うと記憶に残りやすい。
※毎時間資料を配付する予定なので,プリントは毎回ファイリングして持参してほしい。
■成績評価の方法・基準
【方法】
・中間試験  40%  ・期末試験  40%  ・平常点  10%  ・夏期休暇中の課題  10%
【基準】 到達目標を観点として、履修規程に定める「授業科目の成績評価基準」に則り評価する。
■教科書・参考文献(資料)等
教科書
西岡敏・仲原穣[著] 中島由美・伊狩典子[協力] 2006[2000]年
『沖縄語の入門(CD付改訂版)―たのしいウチナーグチ―』(白水社)
テキスト
参考文献
斎藤純男 1997年 『日本語音声学入門』(三省堂)
天沼寧・大坪一夫・水沼修 1978年『日本語音声学』(くろしお出版)
国立国語研究所 編 1963年 『沖縄語辞典』(大蔵省印刷局)   ※その他の文献は講義で紹介する。
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