沖縄県立芸術大学
音楽部&大学院(修士課程)音楽芸術研究科 シラバス

科目コード 授業科目名 単位数 学期 授業区分
51289
(51008)
西洋音楽史特講 2 後期(集中) 講義
受講年次 担当教員名
音楽表現専攻 3〜4年次・音楽文化専攻 2〜4年次 (全専攻2〜4年次) 平野昭
■テーマ
ベートーヴェン作品に見る古典主義様式からの離脱と革新
■授業の概要
ピアノ・ソナタ及び交響曲を中心とするソナタ多楽章作品に見られるベートーヴェンの革新的な表現法、作曲姿勢を楽譜と音(CD等々)で確認する。ベートーヴェンの晩年様式は同時代者たちの表現様式とは大きく異なり、革新的特性から、特に孤高様式と呼ぶ。この様式は1818年に完成するピアノ・ソナタ、変ロ長調Op.106《ハンマークラヴィーア》の成立とともに始まる。その後作曲される3曲のピアノ・ソナタOpp.109, 110, 111、《ディアベリ変奏曲》Op.120、《ミサ・ソレムニス》Op.123、交響曲第9番Op.125、そして、最後の5曲の弦楽四重奏曲Opp.127, 130, 131, 132, 135に見られる孤高様式を貫く共通した創作理念、表現技法について分析的に検証する。
■到達目標
1)ベートーヴェンに見られるロマン主義特質の理解
2)ソナタ形式という「幻想」の反省と「ソナタに見られる諸形式」の理解
3)ベートーヴェン作品解釈のための新しい観点の必要性の理解
■授業計画・方法
1.導入:ベートーヴェンの作曲学習に見られるJ.バッハ及びC.P.E.バッハ、モーツァルト受容と消化吸収
2.3期(初or前・中・後期)創作期区分の諸問題とジャンルを越えた7期区分
3.ピアノ・ソナタの全様・総論
4.短期集中のヴァイオリン・ソナタ
5.前期・中期・後期に分散するチェロ・ソナタ
6.ロマン主義歌曲:連作リート《遥かな恋人に寄せて》(1816)
7.革新的な形式変化の見られるピアノ・ソナタ:その1:Op.26、Op.27の2曲、Op.31の3曲、
8.革新的な形式変化の見られるピアノ・ソナタ:その2:Op.53、Op.57
9.《ハンマークラヴィーア》Op.106と孤高様式への道、Op.90、Op.101
10.3曲セットの最後のピアノ・ソナタ Op.109〜111
11.《ディアベッリ変奏曲》Op.120
12.《ミサ・ソレムニス》Op.123
13.「第九」交響曲Op.125
14.最後の5曲の弦楽四重奏曲Op.127、130、131、132、135
15.定期試験は行わない。講義内容の補填とまとめ。質疑応答。
■履修上の留意点(授業以外の学習方法を含む)
・あらかじめ『ニューグローヴ音楽事典』(日本語版でも可)の「ベートーヴェン」項目を読んでおく。
・当該講義回に取り上げる予定の楽譜を可能な限り持参する
・講義で部分的に紹介した作品は、受講後に必ず楽譜を見ながら鑑賞するという努力をする
・何らかの「西洋音楽史概説」といった参考図書の18世紀から19世紀前半までを常に参照する
・受講時にはふつうのノートの他に必ず5線譜ノートを用意しておく、ルーズリーフでよい。
■成績評価の方法・基準
【方法】
平常点50% 課題レポート50%
【基準】 到達目標を観点として、履修規程に定める「授業科目の成績評価基準」に則り評価する。
■教科書・参考文献(資料)等
教科書
使用しないが、講義内容にある作品の楽譜をできるだけ持参(スコア、演奏譜等、IMSLP)
テキスト
必要最小限のメモ・レジュメは講義時に配布する
参考文献
『ベートーヴェン事典』東京書籍(1999)、『ベートーヴェン大事典』平凡社(1997)、ルイス・ロックウッド著・沼口・堀訳『ベートーヴェン:音楽と生涯』春秋社(2010)、ダールハウス著・杉橋訳『ベートーヴェンとその時代』西村書店(1997)、平野昭著『作曲家:人と作品 ベートーヴェン』音楽之友社(2012)
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