国立印刷局は、2025年7月10日(木)から11日(金)に沖縄県立芸術大学(所在地:沖縄県那覇市/学長:波多野 泉)にて国立印刷局の工芸官が美術工芸学部、造形芸術研究科、芸術文化学研究科の学生を対象とした特別講義を沖縄県内で初めて実施します。
開催詳細
日時
2025年7月10日(木)
- 14:00〜14:45 特別講義「国立印刷局の事業紹介、工芸官業務の紹介、セキュリティデザイン(製品ができるまで)」
- 14:45〜15:30 「新しいお札の紹介(偽造防止技術・ユニバーサルデザイン)、習作品の紹介」
7月11日(金)
- 10:00〜12:00 技術指導 「ビュラン作製の実演」
- 13:00〜13:15 特別講義 「国立印刷局の事業」
- 13:15〜15:00 技術指導 「凹版彫刻の実演、実技指導」
- 講義の進捗によっては、講義の内容が変わる可能性がありますので、ご理解願います。
受講対象
沖縄県立芸術大学 美術工芸学部、造形芸術研究科及び芸術文化学研究科の学生
場所
本学教室等(首里当蔵キャンパス)
取材のポイント
特別展示
- 特別展示の一部は、動画及び写真撮影はできない作品があることを予めご承知おき願います。
公開講座
- 講座の初めから終わりまで、通しでの録画や録音はできません。
- 講座中、スクリーンに投影される資料画像等の動画撮影は原則できません。
静止画での撮影は可能です。
その他・全体を通じて
- 講師の表記は、「国立印刷局工芸官」または「工芸官」としてください。
- 工芸官のフルネーム、年齢、顔は、セキュリティ上の観点から非公開です。
撮影の際も、工芸官の顔が映らない、判別できない撮影をお願いします。
- 取材や撮影の際は、報道機関であることがわかるよう必ず腕章を着用してください
(公開講座の一般参加者の撮影や録音は禁止となっています)。
- 特別講義は、授業として行いますので、進行を中断するような取材撮影は、ご遠慮いただけますようお願いいたします。
取材対応
取材を行う場合は、事前申し込み(7月7日(月)16:00まで)が必要です。
取材を申し込む際には、国立印刷局HPから取材申請書、取材内容(質問事項)の提出をお願いします。
なお、事前申し込み日を過ぎた後の取材はお受けできませんので、ご理解をお願いします。
取材の申込のあった方に、集合場所等や連絡事項をお伝えします。
また、特別講義における申し込み各社に対して、国立印刷局広報官室より事前レク(資料配布あり)を行いますので、予めご承知おき願います。
事前レク
日時
- 7月10日(木)13:30〜13:50
- 7月11日(金)12:30〜12:50
場所
一般教育棟 教養301教室
- 7/10は13:20、7/11は12:20までに、取材対応窓口(管理棟1階事務局窓口)へお越しください。
国立印刷局より
国立印刷局工芸官の特別講義は、国内の芸術系・美術系大学において、専門の技術者である「工芸官」の技巧に関する講義を実施するなど、日本の文化芸術の振興に寄与した功績が認められ、令和6年度「文化庁長官特別表彰」を受賞したものです。「文化庁長官特別表彰」は、文化活動に優れた成果を示し、我が国の文化の振興に貢献された方々、又は、日本文化の海外発信、国際文化交流に貢献された方々のうち、発信力の高い方や団体に対し、その功績をたたえ文化庁長官から表彰するものです。なお、今回の国立印刷局への表彰は、平成元年(1989年)に創設された「文化庁長官表彰」を含め、府省庁・独立行政法人等の国の機関としては初めて文化庁長官から授与されたものです。
概要
国立印刷局は、日本銀行券の製造をはじめ、官報、パスポートなど国民生活に密着した製品を製造している組織です。当法人は、明治4年(1871年)に大蔵省紙幣司として創設され、国民の皆様からの「信頼」に支えられ、令和3年に創立150年を迎えました。国立印刷局には、高度なアートの力(芸術性と技能)を有した「工芸官」と呼ばれる専門職員が在籍しており、国民経済に不可欠なインフラストラクチャーである日本銀行券やパスポート等のデザインや原版製造は、「工芸官」が担っております。
国立印刷局では、令和4年度から国内の芸術系・美術系大学の学生を対象として、高度なアートの力(芸術性と技能)を有した工芸官の高い技術と細密な彫刻を次世代に伝え、継承することが、文化・教育活動の一助に繋がるものとして、講義を開始しました。令和4年度には2大学、令和5年度には6大学、令和6年度においては4大学と1専門学校で開催し、美術や芸術を学ぶ学生のキャリアプランの可能性と選択肢を提供する機会として実施しております。
国立印刷局が製造する日本銀行券などの原版作製では、現在でも工芸官による手仕事が中核をなしており、ビュランという金属の細密彫刻に適した専用の彫刻刀が用いられます。このビュランを使いこなすには熟練を要し、長い年月と根気が必要とされます。この講義は、国立印刷局の工芸官がどの様に緻密な画線を彫り進めているかを知ることができます。
このような取組は、日本銀行券に対する国民の信頼を維持するために必要な情報として、日本の伝統文化が独自性のある産業として結実した姿を外部に発信するとともに、国立印刷局におけるモノづくりが古来から続く日本文化及び伝統技能の確認、継承の場となっていること、また、工芸官のアートの質の高さが製造する製品の偽造防止技術の基盤となっていることから、国立印刷局が長年培ってきた工芸官の高い技術を国民の皆様に知って頂くことを目的とした、社会貢献活動の一環でもあります。
美術工芸学部 絵画専攻 教授 知花 均のコメント
昭和61年(1986年)に開学した沖縄県立芸術大学は、沖縄文化が造り上げてきた個性の美と人類普遍の美を追究することを建学の精神として掲げ、専門芸術の技術、理論及び歴史を教授研究することで、優れた芸術家をはじめとする社会的に活躍できる人材を育成してきました。絵画専攻では、版画を基礎教育に位置づけ、版表現の技術指導を通して広範で根源的な絵画表現のありように触れながら独創的な表現が行えるよう教育を実践してきました。
この度、国立印刷局との協働で行われる特別講義「日本銀行券と国立印刷局工芸官の技巧」では、国立印刷局のビュラン彫刻技術(エングレービング)を体験させていただきます。明治期に日本が近代化を図る過程で大蔵省がイタリア人技師を招聘し学んだ超絶技巧の奥深さとその価値を知ることにより、デジタルテクノロジーが社会を覆いつくす時代に、AIにはできない人間の手わざの最高峰を目の当たりにする機会となります。アートやデザインで未来のクリエイティビティを担う学生たちにとって意義深く、示唆に富む貴重な学びとなるものと期待しています。