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工芸専攻

感性を磨き、新しい伝統文化を創造する

[写真]制作風景(染分野)

専攻概要

染分野

[写真]キャンパスの中庭で紅型作品を掲示する学生たち

カリキュラムの特徴

染分野では、紅型に代表される型表現を基礎とした様々な染色技法を習熟することによって現代社会に発信・展開する力を身につける教育を主眼としています。紙漉・琉球藍研究を通して素材の知識を深め、型紙研究、着物制作において造形力を高めるカリキュラムです。

技術に裏打された創造性豊かな染色表現ができる人材育成を目指しています。

織分野

[写真]織機で作品制作をする女子学生

カリキュラムの特徴

織分野では、紙や浮織技法を用いた織制作をはじめ、沖縄特有の植物繊維の糸作りなど天然素材研究を行います。多様な専門技術や表現方法を学び造形表現への展開を図り、個性のある創作へと応用、展開を行います。

そして、織を通して沖縄の自然や文化、社会との関わりを模索し、自己の将来を明確に展望できる人材の育成を目指しています。

陶芸分野

[写真]窯の前で窯の火を調整する女子学生

カリキュラムの特徴

陶芸分野では、素材、思考、技術の3つのファクターの相互関係や連動性をカリキュラムの根幹として考えています。陶という可能性を秘めた素材を知覚することによって創造するという欲求が生まれ、それと連動するように思考が始まり、その思考を具現化させるために技術や造形力が必要となります。学部ではこの3つのファクターの相互関係や連動性の理解を促し、様々なカリキュラムを通して陶でできる多角的な表現力・造形力を養い、それを社会に対し発信できる人材の育成を目指しています。

漆芸分野

[写真]漆作品を研磨する女子学生

カリキュラムの特徴

漆芸分野では琉球漆芸の技法や表現を吸収すると共に、幅広く日本漆芸全体を学ぶことを基礎とした上で各自の個性を伸ばす教育を目標としています。様々なカリキュラムをとおして創作活動を実践していく専門性を習得することと同時に就職などの多様な進路にも対応し、現代社会に貢献できる「人間力」を身に付けることも目指しています。創造の柱となる「素材・技法・表現」を3要素として「歴史・科学・社会」とリンクしながら総合的なバランスの良い教育を展開していきます。

教育課程の概要

1年次から2年次前期まで美術全般を幅広く学ぶことで工芸専攻の基礎力を養うと同時にエ芸専攻の4分野(染・織・陶芸・漆芸)の実習を通し、工芸制作の基礎を学びます。

2年次後期からは4分野に分かれ、専門的に素材の知識、技法や表現を3年次まで学び、学部の集大成として4年次の卒業制作へと進みます。

工芸専攻の必修科目

  • 描写
  • 色彩
  • 立体構成
  • 工芸I・II
  • 立体造形(工)
  • 版画
  • デザインと素材
  • 古美術研究
  • 陶芸I~III
  • 窯業化学
  • 陶芸特別演習
  • 染I~III
  • 織I~III
  • 繊維科学
  • 染色化学
  • 染織特別演習
  • 漆芸I~III
  • 漆芸科学
  • 漆芸特別演習
  • 絵画(工)
  • 彫刻(工)
  • デザイン(工)

染分野教育環境

染分野には、着物制作専用の引染工房があり、3年次の課題で全員が着物を染めます。また、タペストリーやパネル等の大きな作品を染める工房もあります。共同の施設として、講義室、染場、外部作業場、コンピュータ室等もあり、充実した環境が整っています。

学生の声

上地 菜々美(うえち・ななみ)

沖縄県出身
工芸専修 大学院2年生(2024年4月現在)

[写真]上地 菜々美

沖縄県立芸術大学工芸専攻では、染・織・漆芸・陶芸の4分野の基礎的な技術と知識をはじめに学ぶことができます。幅広く工芸について触れ、さらに2年次で選択した分野のより専門的な技術と知識を身につけていきます。

染分野では、古典紅型の模写などを行い基礎的な紅型の技術を学び、顔料や染料など色材と絹、麻、和紙などさまざまな素材で、自身で縫いまで行う着物や帯、平面作品を制作します。そして、染分野の先生方と外部講師による充実した講義と作業環境の中で型染や筒描き、シルクスクリーンなどを用いて、自身の染色表現を深めることができます。

また、いろんな地域から集まった同期たちとの交流で刺激を受け、アイディアや新たな発見を得たり、分野を越えた繋がりや学びもある専攻ですので、技術と経験を得るよい大学生活が送れるでしょう。

織分野教育環境

織分野では、一人一台織機完備の織工房をはじめ、糸染めや染色実験を行う染場や外部作業場、撚糸機を備えた織機機室、意匠設計を行うコンピュータ室、素材研究に必要な芭蕉畑等、制作・研究環境の充実を図っています。

学生の声

森田 希鈴(もりた・きなり)

群馬県出身
織分野4年生(2024年4月現在)

[写真]森田 希鈴

「“織り”って“紅型”のこと?」と聞かれることがあります。違いを説明するのですが、皆さん曖昧な反応を残していきます。沖縄と言えば“紅型”。いやいや、織りも負けていない!

実際に見てみて、やってみてわかる魅力があります。最初は単純なデザインものから次第に技術と技法を身に付けて、表現の幅を広げていくことができます。普通科高校出身で、織りの知識も技術も0からスタートした私ですが、2年生で着物を、3年生ではケープコートを作ることができました。先生方が手厚くサポートしてくださるので、自分の“作りたいもの”を実現することができます。糸を染め、一本が集まって、重なって、布になる面白さ。沖縄の手織りの奥深さや美しさ。ここでしか学べないものがあります。織りの世界を覗いてみませんか。織工房でお待ちしております。

陶芸分野教育環境

陶芸分野では、一人に一台ずつ電動轆轤が与えられます。そして様々な焼成実習が行えるように登り窯・ガス窯・電気窯を設置し、また釉薬などの科学的な実験や研究も行えるように釉薬調合室や実験機器の設備の充実を図っています。

学生の声

三國 澄香(みくに・すみか)

熊本県出身
陶芸分野4年生(2024年4月現在)

[写真]三國 澄香

工芸専攻では染・織・陶芸・漆芸の4分野の基礎を幅広く学んだ後、分野選択を行います。どの分野も設備が整っていて、集中して制作に取り組むことができる環境になっています。

陶芸分野では一人に一台電動轆轤が使えて、多くの焼成の方法も学ぶことができます。縦の繋がりも強く、登り窯の実習では2年生〜院生で協力して焼いたり、卒業生で現在作家活動をしている方に会いに行ったりなど、多くの経験を得ることができます。また、本学の先生や助手だけでなく、外部の講師からの授業も多く、陶芸について深く知ることができる機会も多いです。作品制作では、作りたい作品に対してどのように作れば良いのか先生方に相談しやすい環境なので、色々なことに挑戦できる場所です。

受験生の皆様が充実した大学生活を送れるよう願っています。

漆芸分野教育環境

漆芸分野では、実習室に様々な道具や材料を機能的に収納できる個人用作業机を置き、デザインワークや下地作業を行います。加飾室や塗部屋、大型作品の制作スペースとしての造形室や木工室の施設、電機回転ぶろ、乾漆用電気炉、堆錦用電動ローラー、回転研磨機、漆精製用ふね他、多くの機器を備えています。

学生の声

藤田 雅也(ふじた・まさや)

香川県出身
漆芸分野4年生(2024年4月現在)

[写真]藤田 雅也

高校ではデザイン科を卒業し、見て印象に残る形や色について学んできましたが、自分自身を表現する場はデザインではないと思い、形に残る作品を作りたく沖縄県立芸術大学の工芸専攻に進学しました。作品を作る上で工芸を選んだのは、美術に興味がない人でも使うモノ(用途のある形)であると感じたからです。また、沖縄には“堆錦”という沖縄特有の漆芸技法があり、漆の可能性を感じたからです。自分自身の感性とモノが持つ用途や目的、そして漆芸の魅力が合わされば面白い作品ができると感じ作り続けてきました。大学卒業後はカプセルトイを製作する会社に就職しますが、大学で学んだ基礎や造形力を活かして、自分らしいモノづくりを目指していきたいと思います。

[写真]古美術研究で奈良を訪問した際の集合写真

求める人物像

  • 沖縄固有の文化、また広く地域の芸術文化に関心があり、将来工芸作家、教育者、研究者等専門家として活躍できる人。
  • 工芸技術の習得及び研究に興味があり、意欲的に作品制作に取り組み、感性を磨き、他とのコミュニケーションを密にして、自ら積極的に学び、自己形成に努力できる人。
  • 芸術文化、とりわけ伝統工芸、伝統文化の継承、発展に関心があり、グローバルな視点で沖縄の工芸文化研究に意欲のある人。

専任教員(染・織・陶芸・漆芸)

染分野

織分野

陶芸分野

漆芸分野

教員からのメッセージ

[写真]花城 美弥子

花城 美弥子教授

工芸専攻は、染、織、陶芸、漆芸の4分野から成り、それぞれの基礎を学ぶところからスタートします。
専門分野に進んでからは、琉球王国時代から脈々と培われた伝統技術をしっかりと学びつつ、日本や世界に共通する技術も身につけます。また、自らの創意工夫でオリジナリティ溢れる作品を創り出すことに挑戦できる人材育成を目指しています。新たに復元されつつある首里城のふもとで琉球文化の風を感じながら、伝統と革新が織りなす表現の世界に最初の一歩を踏み出してみませんか。

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