工芸専攻
感性を磨き、新しい伝統文化を創造する
アドミッションポリシー
- 沖縄固有の文化、また広く地域の芸術文化に関心があり、将来工芸作家、教育者、研究家等専門家として活躍できる人。
- 工芸技術の習得及び研究に興味があり、意欲的に作品制作に取り組み、感性を磨き、他とのコミュニケーションを密にして、自ら積極的に学び、自己形成に努力できる人。
- 芸術文化、とりわけ伝統工芸、伝統文化の継承、発展に関心があり、グローバルな視点で沖縄の工芸文化研究に意欲のある人。
工芸3年「古美術研究」
1・2年次におけるカリキュラム
- 1年次前期の造形基礎は、デッサン及び絵画・彫刻の基礎実技を通して、基礎的造形力を養うことを目的としています。また、写真・版画基礎のほか、専攻独自の基礎的な実習もまじえており、それぞれの専門性にも配慮した内容となっています。
- 1年次後期「工芸I」及び、2年次前期「工芸II」では、学生が工芸専攻4分野(染、漆、陶、織)の様々な素材に触れながら、自分の思考を形にする造形力を養うことを目的としています。これらのカリキュラムを経て、2年次後期から始まる専門分野課程の選択や、各分野に対する適正な判断が行えるように指導しています。
年次 | 前学期 | 後学期 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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1年次 | 絵画 | 工芸基礎 | デザイン | 彫刻 | 工芸II | ||||||||||||||||||||||||||||
描写 | 立体造形 | 染基礎(1) | 漆芸基礎(1) | 陶芸基礎(1) | 織基礎(1) | ||||||||||||||||||||||||||||
2年次 | 工芸II | 染分野 | 染I | ||||||||||||||||||||||||||||||
漆芸基礎(2) | 染基礎(2) | 陶芸基礎(2) | 織基礎(2) | 染色実験 | 防染法 | 古典紅型(筒) | 古典紅型(型) | 型紙研究 | 紅型又は 自由制作 |
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織分野 | 織I | ||||||||||||||||||||||||||||||||
染色実験 | 組織 | 着尺 | 仮仕立て | 浮織基礎 | |||||||||||||||||||||||||||||
漆芸分野 | 漆芸I | ||||||||||||||||||||||||||||||||
道具の仕立 木工指物 琉球漆工史 |
木工ロクロ 髹漆(1) 下地工程 |
漆精製 漆芸科学 |
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陶芸分野 | 陶芸I | ||||||||||||||||||||||||||||||||
ろくろ成形(1) | ろくろ形成(2) | 琉球陶磁史 | ろくろ成形(2) |
工芸I 染基礎①「筒描き」
工芸II 織基礎②「綴れ」
工芸II 漆芸基礎②「乾漆」
工芸I 陶芸基礎①「土器」
染分野
カリキュラムポリシー
沖縄の自然や文化、社会との関わりを模索し、自己の将来を明確に展望できる人材の育成をめざします。
織分野では、絣やつづれ技法を用いた織制作をはじめ、沖縄特有の植物繊維の糸作りなど天然素材研究も行います。1・2年次では、造形力と基礎的技術を習得し、2年後期・3年次では、多様な専門技術や表現方法を学び造形表現への展開を図ります。4年次では、前・後期で計画を立て、さらに個性のある創作へと応用、展開し卒業制作を行います。
染分野教育環境
染分野には、着物制作専用の引染工房があり、3年次の課題で全員が着物を染めます。また、タペストリーやパネル等の大きな作品を染める工房もあります。共同の施設として、講義室、染場、外部作業場、コンピュータ室等もあり、充実した制作環境が整っています。
引染工房
年次 | I前学期 | I | 後学期 | ||||||||||||||
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3年次 | I染II | I | 染II | ||||||||||||||
型染 | 和紙 | 着物制作 | 仮縫い | 作品撮影 | 型染研究 | 古美術研究旅行 | 帯制作 | 自由制作 | |||||||||
4年次 | I染III | I | 染III | ||||||||||||||
卒業制作 試作 | 琉球藍研究 | 卒業制作 |
講義風景・学生作品
2年「古典紅型(筒)」
3年「着物制作(水元)」
石倉 めぐみ「途」
窪 優子「雨あがり」
大堀 健斗「Birthday」
卒業生の声
小泉 美里
- 2008年
- 工芸専攻染織コース 入学
- 2012年
- 工芸専攻染織コース
卒業
大学院生活造形専攻染織専修 入学 - 2014年
- 大学院生活造形専攻染織専修 修了
沖縄の碧い海と豊かな自然、色鮮やかな紅型に興味をもち、沖縄県立芸術大学に進学することを決めました。そして、入学して初めて工芸という分野に触れ、その中でも生活する上で欠かせない衣服などに必要不可欠な布を彩る「染め」に私は魅力を感じ、染分野を専攻しました。
染分野では沖縄の伝統工芸である紅型だけでなく、型絵染め・藍染め・絞り染め・臈纈・友禅(筒描き)など様々な技法を学ぶことができます。その中で着物を染める授業もあり、今まで和服に関わったことがなかった私にとってはとても興味深く、現在では着物を中心に作品制作を続けています。
沖縄に来てこの大学で6年間過ごし、いろいろな経験や出会いがありました。指導して下さった先生方や友人、たくさんの人々に感謝しています。社会に出てからも自分らしい作品を作り続けることができるよう、日々努力していこうと思います。
宇良 京子
- 1995年
- 工芸専攻染織コース 入学
- 1999年
- 工芸専攻染織コース(染)
卒業
大学院生活造形専攻染織専修 入学 - 2001年
- 大学院生活造形専攻染織専修 修了
- 現在
- 沖縄県立芸術大学教育補助嘱託員
感謝
今、あふれ出してくる想いの全てがこの言葉につながります。
私が学生であった頃、学校に携われている今、様々な形で、常に真摯に向き合う事の大切さを教えられてきたように思います。
大学という環境で日々創造に向き合い、悩み、何かを掴み心ふるわせる…その襞に触れるたび、学生の頃に感じた感覚が蘇ってきます。
「染はおもしろい」
様々な出会いを経た今、それは確信になりつつあります。
沖縄県立芸術大学に身をおき、日々様々な事と向き合う中で掴み取ったもの、心に触れてくるもの、悩みも悩んだ分必ず答えを出し、あなたの創造の糧として下さい。
「こうありたい」というキラキラした願いが一枚の布として生まれますように。
織分野
カリキュラムポリシー
沖縄の自然や文化、社会との関わりを模索し、自己の将来を明確に展望できる人材の育成をめざします。
織分野では、絣やつづれ技法を用いた織制作をはじめ、沖縄特有の植物繊維の糸作りなど天然素材研究も行います。1・2年次では、造形力と基礎的技術を習得し、2年後期・3年次では、多様な専門技術や表現方法を学び造形表現への展開を図ります。4年次では、前・後期で計画を立て、さらに個性のある創作へと応用、展開し卒業制作を行います。
織分野教育環境
織分野では、一人一機完備の織工房をはじめ糸染めや染色実験を行う染場や外部作業場所、撚糸機を備えた織機械室、意匠設計を行うコンピュータ室、素材研究に必要な芭蕉畑等、制作・研究環境の充実を図っています。
織工房
年次 | 前学期 | 後学期 | ||||||||||||||||
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3年次 | 織II | 織II | ||||||||||||||||
素材研究 (苧麻・絹・天然染料) |
ずらし絣 | 経緯絣 | CG演習 | 作品撮影 | 製品開発 服地制作 |
古美術研究旅行 | 自由制作 | |||||||||||
4年次 | 織III | 織III | ||||||||||||||||
苧麻 | 卒業制作 | 卒業制作 |
講義風景・学生作品
3年「経緯絣」
3年「経ずらし絣」
岸本 菫「フルーツドロップ」
勝連 鈴奈「祝寿」
尾崎 みどり「嶺渡」
卒業生の声
北谷 祥
- 2010年
- 工芸専攻染織コース 入学
- 2014年
- 工芸専攻染織コース(織)卒業
織分野では3年次まで技法の習得や素材研究が主となり、その後は習得した技術をもとに各自の制作となります。私は布を基礎から学びたいと織分野を選択したこともあり、素材研究では大きな感銘を受けました。この課題は実際に植物から繊維を取り出し、紡績し、織り上げます。一連の工程を学ぶことで、一から布を作り上げる面白さと各素材の特性を知ることができ、その後の制作に役立ちました。
また、糸へ向き合う姿勢は作品に反映され、制作を通して自分自身の弱さも大いに暴かれました。甘さや失敗は後々作品へ表れ、まざまざと突きつけられます。3年次からは課題に追われる毎日でしたが、ひとつひとつの作品に反省と成長があり、充実した大学生活を送ることができました。
振り返ってみると、技術とともに人間性も鍛えられた四年間でした。ご指導くださった先生方や支えてくれた仲間に感謝し、大学で得た経験を大切にしながら今後も励んでいきたいと思います。
長池 朋子
- 1990年
- 工芸専攻染織コース 入学
- 1994年
- 工芸専攻染織コース(織) 卒業
- 1995年
- 染織コース(織) 研究生修了
- 1999年
- 機織工房しよん所属
- 2005年
- tituti OKINAWAN CRAFT 所属
あの時があったから今がある
沖縄県立芸術大学の入学が私の沖縄ライフの第一歩になりました。現在も沖縄で生活を続けたいと思わせてくれる出会いの場を提供してくれたのが学生生活です。授業で出会えたひとつひとつの技術、物作りへの考え方、また沖縄という興味深い文化。いまの私へ全てが繋がっています。学生ならではの環境を存分に活用して貪欲に吸収できた当時があったからこそ現在があることを感じます。
仕事にすることによって制約や甘くない世界が待っています。しかし学生時代にに得られた物は自分の財産となってずっと助けてくれます。今でも沖縄で織物を続けたい理由のひとつに沖縄の自然があります。光、空気、匂いが沖縄ならではのものだからです。そういうことを感じ、考えられるのは、始めて沖縄に接することが出来たのが、大学という素晴らしい環境だったからだと思います。
漆芸分野
カリキュラムポリシー
漆芸分野では琉球漆芸の技法や表現を吸収すると共に、幅広く日本漆芸全体を学ぶことを基礎とした上で各自の個性を伸ばす教育を目標としています。様々なカリキュラムをとおして創作活動を実践していく専門性を習得することと同時に就職などの多様な進路にも対応し21世紀の現代社会に貢献できる「人間力」を身に付けることも目指しています。
創造の柱となる「素材・技法・表現」を3要素として「歴史・科学・社会」とリンクしながら総合的なバランスの良い教育を展開していきます。
漆芸分野教育環境
漆芸分野では、実習室に様々な道具や材料を機能的に収納できる個人用作業机を置きデザインワークや下地作業を行います。塗りや加飾作業を行う塗り部屋、大型作品の制作スペースとしての造形室や木工室 等の施設を備えていると共に乾漆制作に必要な電気炉や回転研磨機、自動乳鉢 等、多くの機器や漆精用の舟も備えています。
漆芸実習室
年次 | 前学期 | 後学期 | ||||
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3年次 | 漆芸II | 漆芸II | ||||
スケッチ 髹漆(2) 乾漆 立体造形 |
ポートフォリオ演習 堆錦・箔絵・密蛇絵 漆芸特別演習(沈金) 蒔絵 |
自由制作 蒔絵 |
古美術研究旅行 | 自由制作 蒔絵 現代作家論 |
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4年次 | 漆芸III | 漆芸III | ||||
卒業制作自主研究 | 卒業制作 | 卒業制作 |
講義風景・学生作品
1年「漆芸基礎①(螺鈿)」
渡名喜 智瑛 「省と風景(部分)」
林 優里 「共存(部分)」
漆芸I「漆精製」
漆芸I「道具の仕立」
藤本 つぼみ 「utakata(部分)」
在学生の声
池田 萌夏
- 2012年
- 工芸専攻 入学
- 2014年
- 工芸専攻漆芸分野 2年次在学中
漆の一番の魅力は、その表情の豊かさです。漆芸の表現は、色、艶、素材や技法も合わせると、非常にたくさんの表情を持っていると思います。そして他にも、丈夫で軽いなど多くの特徴があります。漆は自分の考えを限りなく表現させてくれ、また、想像を超える可能性の大きな素材のように思います。
私は、漆について何も知らないところから入りました。初めて意識して漆芸作品を見た時、その艶、黒さ、光の反射の仕方などに息が止まるような緊張感を感じたことが漆への興味の始まりです。大学では、日本漆芸は勿論、琉球漆芸についても詳しく勉強し、本土、沖縄、アジアの持つ美意識を比較しながら学ぶことが出来、すごく面白いです。
漆に触れてまだ日が浅く、上手く扱えずに悔しいことが多いですが、先生方や漆芸の友達らに助けてもらいながら、将来、私の感じた漆の美しさや衝撃を多くの人達に感じてもらえるような作品を制作していきたいと思います。
陶芸分野
カリキュラムポリシー
陶芸コースでは、素材⇔思考⇔技術の3つのファクターの相互関係や連動性をカリキュラムの根幹として考えています。陶という可能性を秘めた素材を知覚することによって創造するという欲求が生まれ、それと連動するように思考が始まり、その思考を具現化させるために技術や造形力が必要となります。学部ではこの3つのファクターの相互関係や連動性の理解を促し、様々なカリキュラムを通して陶でできる多角的な表現力・造形力を養いそれを社会に対し発信できる人材の育成を目指しています。
陶芸分野教育環境
陶芸分野では一人に一台ずつ電動轆轤が与えられます。そして様々な焼成実習が行えるように登り窯・穴窯・ガス窯・電気窯を設置し、また釉薬などの化学的な実験や研究も行えるように釉薬調合室や実験機器の設備の充実を図っています。
焼成室
年次 | 前学期 | 後学期 | |||||
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3年次 | 陶芸II | 陶芸II | |||||
磁器技法演習 陶磁器原材料論 影青 特別演習(上絵・和絵具) ワークショップ |
イコミ | 登り窯焼成 | 古美術研究旅行 | 立体表現 茶の文化 特別演習(上絵・洋絵具) |
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4年次 | 陶芸III | 陶芸III | |||||
卒業制作 特別講座 |
登り窯焼成 | 卒業制作 |
講義風景・学生作品
登り窯
「三年生展」制作
比嘉 清香「あかるいまちづくり」
竹田 佳永「Perfume collection」
卒業生の声
杉山 早苗
- 2008年
- 工芸専攻陶芸コース 入学
- 2012年
- 工芸専攻陶芸コース 卒業
大学院生活造形専攻陶磁器専修 入学 - 2014年
- 大学院生活造形専攻陶磁器専修 修了
31歳になったその日に、突然に、決心したのだった。『やきものをやろう。』
やるからには根っこからやりたい、と思って、そうそう県立芸大があるじゃない、とパソコンで調べてみたら、なんと二日後にオープンキャンパスがある!あたふたと2歳の子を友達に預けて出かけたのがはじまりだった。
それからはなんだかんだとばたばたと、あっというまに学部の4年が過ぎ、大学院の2年も間もなく終わろうとしている。ことばもおぼつかなかった2歳の子は、口も達者でちょっとした一人前になっている。もう6年も?!
私はというと、大学に入って初めて焼いた土器が大好きになって、そこからずっと離れられないでいる。人類の文明のはじまりあたり、やきものの歴史のはじめのところ。沖縄の赤土、ちょっと鉄の匂いがする。もんで、形作って、かわかして、焼く。炎をうつしたような赤い茶色。
土を掘ってきて、調整し、焼成する、というはじめから終わりまで出来るのは、沖縄ならではだろう。
私はここにきて、まさにやきものの根っこのところを学んだ。まだまだ当分根っこに夢中だけれど、どんなものが育つか、自分でも楽しみである。
小林 彗子
- 2010年
- 工芸専攻陶芸コース 卒業
- 現在
- 白山陶器株式会社 勤務
青い空、青い海に囲まれた沖縄県立芸術大学。私は学生の4年間をここで過ごす事ができ、本当に良かったと思います。
素晴らしい環境、先生、先輩後輩。そして何より、よい仲間に出会えた場所でもあります。
卒業し沖縄を離れ、少しずつ続けているものづくりに、自然に"青"という色を取り入れている私がいます。
ここでの4年間があったからこそ、今の私があります。そんな大切な場所です。
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